ばね指(トリガーフィンガー)は、指を曲げ伸ばしする腱が通るトンネル(腱鞘)で「引っかかり」が起き、カクンと弾ける・痛い・朝こわばる等の症状が出る状態です。指の付け根の小さなトラブルですが、日常・仕事・育児に大きな不便を生じやすいのが特徴。この記事では、仕組みから原因、セルフケア、治療の選択肢までをできるだけわかりやすくまとめました。
基礎情報の詳細はこちらもご参照ください:
ばね指(トリガーフィンガー)について/ 腱鞘炎について
目次
ばね指とは?(定義と基本)
指を曲げる腱(屈筋腱)が、付け根付近の腱鞘(A1プーリー)で引っかかることで、曲げ伸ばしの途中で「カクッ」と弾けたり、痛みや腫れが出る状態を指します。親指・中指・薬指に多く、朝のこわばり、指の付け根の圧痛(押すと痛い)、コリコリしたしこり(結節)を触れることがあります。
症状とセルフチェック
- 曲げ伸ばしの途中で引っかかり、カクンと弾ける(ロッキング)。
- 指の付け根(手のひら側・第一関節の少し手前)に痛み・腫れ・熱感。
- 朝、指が伸びにくい・こわばる。温めると少し楽。
- 押すとコリッとする小さなしこり(腱の結節)を触れることがある。
- 重症では自力で伸ばせず、反対の手で補助が必要。
仕組み(A1プーリーと屈筋腱の滑走)
指の屈筋腱は、腱鞘(プーリー)と呼ばれるトンネルの中を滑って動きます。繰り返しの強い握りや炎症で、①A1プーリーが厚く硬くなる、または②腱に小さな結節(コブ)ができると、腱が通る時に引っかかりが生じます。結果として「ばね現象」「痛み」「こわばり」が出現します。
原因・リスク要因
反復動作・使い過ぎ
- 包丁・雑巾絞り・重い鍋、工具作業など「強い握り」の反復。
- マウス/スマホの長時間使用(親指連打、手首の固定)。
- 楽器(ギター・ピアノ)、スポーツ(ゴルフ・テニス・クライミング)。
年齢・ホルモン(妊娠/産後・更年期)
- 40〜60代に多く、更年期前後の女性で増加。
- 妊娠・産後は水分貯留や育児による酷使が重なりやすい。
基礎疾患・体質(糖尿病など)
- 糖尿病、甲状腺機能異常、リウマチなどで発症・難治化が増える傾向。
- 手根管症候群と併存することも。
姿勢・手首角度・冷え
- 手首の屈曲・尺屈固定は腱の張力が増し、引っかかりを助長。
- 寒冷環境で血流が落ちると朝のこわばりが増えやすい。
進行段階(ステージ)と悪化のサイン
- 違和感期:朝のこわばり、小さな痛み。腫れは軽度。
- 引っかかり期:日中もカクンと弾ける。付け根が押すと痛い。
- ロック期:自力で伸びにくい。反対の手で補助が必要。
- 固定化期:動かすと強い痛み、可動域低下。医療介入の検討段階。
悪化のサイン:熱感・発赤が強い、夜間痛で眠れない、複数指・両手に広がる。
よくある誤解と鑑別
- =腱鞘炎全般? ばね指は「A1プーリー×屈筋腱」の滑走障害が中心。親指のドケルバン病は「親指の腱鞘(第1コンパートメント)」で部位も機序も別。
- 関節の変形(ヘバーデン/ブシャール結節):指先の関節痛・腫れが主体で、ばね現象は通常なし。
- 手根管症候群:手のしびれ・夜間痛が主体。ばね現象は伴わないことが多い。
自分でできる対策
休ませ方・装具(固定)のコツ
- 痛みが強い時期は「握らない時間」を確保。重い物は両手・道具で分散。
- 就寝時や作業中、症状指の付け根を軽く休ませるサポーター/テーピングが有効な場合あり(長時間の強固定は避ける)。
- 温めで血流改善(手湯・入浴前後)。急性の熱感が強い時は冷却を短時間に限定。
腱滑走とやさしいストレッチ
- 腱滑走エクササイズ(痛みゼロ〜少しの違和感まで)
1) 手を大きく開く → 2) MP関節だけ曲げる → 3) フック(指先は伸ばす) → 4) 握り拳 → 5) 親指を内外にゆっくり移動。各5回。 - 前腕内側を手のひらで軽くさする(強圧や強揉みはNG)。
道具の工夫・作業環境(エルゴノミクス)
- グリップを太く柔らかく(グリップカバー、滑り止め手袋)。
- スマホは両手操作+スタンド。親指連打は回避、音声入力も活用。
- デスクは肘90〜100度、手首は中間位。キーボードは肘よりやや低め、マウスは体に近く。
悪化させやすいNG行動
- ロックした指を無理に伸ばす、勢いよく鳴らす。
- 痛みを我慢した強いストレッチ・強圧マッサージ。
- 寒冷下での長時間作業や、朝一からの強い握り連続。
治療の選択肢(保存療法〜注射・手術)
- 保存療法:使い方の見直し、装具・テーピング、前腕・手の軟部組織ケア、腱滑走エクササイズ、物理療法(超音波など)。
- 薬物療法(医療機関):痛み・炎症に対する内服や外用(医師判断)。
- ステロイド注射(医療機関):A1プーリー周囲への注射で炎症・腫れを抑える選択肢。効果と再発リスクを医師と相談。
- 手術(医療機関):A1プーリー切開(リリース)で通り道を広げる方法。難治例・重症例で検討。
注射・手術は整形外科の領域です。当院では保存療法の最適化や術前後のリハビリを担当し、必要時は医療機関へご紹介します。
受診の目安
- 指がロックして自力で伸ばせない、強い腫れ・熱感・発赤がある。
- しびれ・感覚低下を伴う、夜間痛で眠れない。
- 2〜3週間セルフケアを続けても改善が乏しい、日常・仕事に支障。
- 糖尿病など基礎疾患がある、複数指・両手に及ぶ。
当院でできること(はやしだ鍼灸整骨院)
- 評価:痛みの部位、引っかかりの程度、使い方のクセ、作業環境の確認。
- 手技・物理療法:前腕〜手内筋の筋膜リリース、関節モビライゼーション、超音波などを症状に合わせて実施。
- 運動指導:腱滑走エクササイズ、手首中間位のコントロール練習、日常の負荷管理。
- テーピング/サポーター:症状・生活に合わせた選び方・使い方を提案。
- 医療連携:重症例・長期化例・基礎疾患併存時などは整形外科へ速やかにご紹介。
ご予約・お問い合わせ
はやしだ鍼灸整骨院
住所:大阪市東住吉区桑津1-12-27
電話:0667137755
公式サイト:https://hayashida-sinkyuu-seikotsu.com
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診療時間
平日 9:00-13:00/16:00-20:00
土曜 9:00-13:00
休診:日曜・祝日
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まとめ
- ばね指は、A1プーリーと屈筋腱の「滑走障害」による引っかかりと痛みが本質です。
- 反復の強い握り、年齢・ホルモン、基礎疾患、姿勢や手首角度が発症に関与します。
- 早期の負荷調整と腱滑走が改善の近道。悪化例は整形外科と連携しながら最適な治療を選びましょう。








