抱っこ・授乳・家事に追われる産後は、手首や指の負担が一気に増え、腱鞘炎(とくに親指のドケルバン病)や、指の付け根で弾ける「ばね指」が起こりやすい時期です。年末の大掃除や園芸シーズンはさらに負荷が高まります。本記事では、産後ママの手に起きやすいトラブルをわかりやすく解説し、5分でできる準備運動と道具選び、作業中の守り方まで具体的にご紹介します。
基礎情報はこちらもご参照ください:
腱鞘炎について/ ばね指(トリガーフィンガー)について
目次
なぜ産後ママに多いの?(腱鞘炎・ばね指の背景)
- ホルモンと水分変化:産後は体内の水分バランスやホルモンが急変し、腱や腱鞘がむくみやすく滑りが悪くなります。
- 反復の強い握り・親指酷使:抱っこ・授乳・哺乳瓶洗い・洗濯などで親指と手首の同じ動きが増加。
- 睡眠不足・寒さ:回復力低下や血流低下で痛み・こわばりが長引きやすい。
- 年末・季節要因:大掃除や園芸で重い物運搬・絞る・こする動作が増え一気に悪化しやすい。
症状とセルフチェック
- ドケルバン病(親指側の腱鞘炎):親指の付け根〜手首の親指側が痛む、ものをつまむ・フタを開けると痛い。
- ばね指:指の付け根でカクンと弾ける/朝のこわばり/押すとコリッと痛い。
- 手首や指が腫れて熱い・赤い、夜間痛で眠れない、ロックして伸ばせない→早めの受診を。
起こる仕組み(ドケルバン病とばね指)
- ドケルバン病:親指を広げる腱(APL/EPB)が通るトンネル(第1コンパートメント)で腱と鞘がこすれて炎症。
- ばね指:指を曲げる腱(屈筋腱)が、付け根の腱鞘(A1プーリー)で厚くなった鞘や腱の結節に引っかかる。
育児・家事で負荷が高い動作と代替案
- 親指を立てて抱っこ→親指は伸ばしすぎず、四指と手のひら全体で支える。スリングや抱っこひもを活用。
- 雑巾しぼり・風呂掃除→両手で軽く握る道具へ変更(スポンジ+持ち手/電動ブラシ)。
- 重い鍋・フライパン→両手で持つ、軽量タイプに変更、滑り止め手袋を使用。
- 買い物袋→指に掛けず、肩掛け・リュック・キャリーカートへ。
大掃除・園芸前の5分準備運動
親指・手首のウォームアップ(60〜90秒)
- 手湯30秒→手首を中間位で、親指を痛くない範囲で広げる・戻す×10回。
- 親指を人差し指に軽くタッチしながら、他の3指はリラックス×10回。
前腕・肘のケア(60〜90秒)
- 前腕内側・親指側を手のひらでさする(強揉みはNG)30秒。
- 腱滑走:手を開く→MP曲げ→フック→軽く握る→拳→開くを痛みゼロ〜違和感少しで各5回。
肩甲骨・体幹のリセット(60〜90秒)
- 肩甲骨を「下げて・軽く寄せる」×10回(すくまない)。
- 壁スクワット浅め×5回(体幹を起こして腕の力みを抜く)。
呼吸で力みをオフ(30〜45秒)
- 鼻4秒吸う→口すぼめで6〜8秒吐く×6呼吸。吐く時に肩を下げる意識。
作業中の守り方(マイクロブレイクと配分)
- 20〜30分ごとに30〜60秒「握らない休憩」。指を軽く開閉、手を振って血流アップ。
- 片手偏重を避ける:左右交互に。力仕事は小分けに。
- 温度管理:寒い場所では手袋+合間に手を温める。
- 痛みサイン(ズキッ、熱い、引っかかり増)を感じたらその日は一段弱い負荷に戻す。
道具選び(掃除・キッチン・園芸)
掃除道具
- 持ち手は太く柔らかいグリップ(グリップカバーやテープ)に。
- モップ・ブラシは長柄で前傾・かがみ込みを減らす。
- 擦り洗いは電動ブラシで「強握り×反復」を削減。
キッチン
- 軽量フライパン、両手ハンドルの鍋。滑り止め手袋で握力を節約。
- 包丁柄にクッションカバー。瓶オープナーを活用。
園芸
- 剪定ばさみはスプリング付き+ラチェット機構で負担軽減。
- ホースノズルはレバー保持不要タイプ、ジョウロは小分けに。
- 膝当て・ガーデンチェアでしゃがみ姿勢を減らす。
テーピング/サポーターの使いどころ
- 親指CM関節(付け根)や痛む指の休息用サポーターは有効な場合あり。長時間の強固定はNG(血流低下・硬さ増)。
- 作業中だけ使う「軽い固定」から試し、外した後は腱滑走でリセット。
授乳・抱っこ・沐浴の姿勢調整
- 授乳:授乳クッションで赤ちゃんの重さを支え、手は“添えるだけ”。手首は中間位を保つ。
- 抱っこ:親指は反らし過ぎない。前腕と体幹に近づけて持つ。抱っこ紐で長時間の素手抱っこを減らす。
- 沐浴:滑り止めマット・ベビーバス活用。片手で首、もう一方は“トレー状”の手のひらで支える。
1日のセルフケアメニュー例
- 朝:手湯1分 → 腱滑走1分 → 肩甲骨下げ寄せ10回。
- 日中:60分毎に30秒「握らない休憩」+親指広げ戻し5回。
- 夜:前腕さすり30秒 → 呼吸6呼吸 → 湯上がりに腱滑走1分。
1〜4週間の進め方(目標と戻し方)
- 1週目:痛み0〜2/10の範囲で準備運動と休憩を徹底。朝のこわばり時間を記録。
- 2〜3週目:道具・持ち方の改善を定着。負荷作業は「短時間×小分け」で再開。
- 4週目:違和感が出たらすぐ一段階戻す“早戻し”ルールで再発予防。
受診の目安
- 指がロックして自力で伸ばせない/強い腫れ・熱感・発赤がある。
- 夜間痛で眠れない、しびれ・感覚低下を伴う。
- 2〜3週間セルフケアを続けても改善が乏しい、複数指・両手に広がる。
これらは医療機関(整形外科)での評価をおすすめします。当院は保存療法や術前後の回復サポートで連携します。
当院でできること(はやしだ鍼灸整骨院)
- 評価:痛み部位、指・手首の使い方、抱っこ・授乳・家事動線、道具の適合をチェック。
- 施術:前腕〜手内筋の筋膜リリース、関節モビライゼーション、超音波など。
- 運動指導:腱滑走、親指・手首中間位のコントロール、肩甲帯の安定化。
- サポート:テーピング/サポーターの選び方・使い分け、家事・育児での負荷設計。
- 医療連携:重症・長期化・基礎疾患併存時は整形外科へご紹介。
ご予約・お問い合わせ
はやしだ鍼灸整骨院
住所:大阪市東住吉区桑津1-12-27
電話:0667137755
公式サイト:https://hayashida-sinkyuu-seikotsu.com
公式LINE(整体):https://x.gd/l1N2x
診療時間
平日 9:00-13:00/16:00-20:00
土曜 9:00-13:00
休診:日曜・祝日
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まとめ
- 産後はホルモン・生活の変化で手に負担が集中しやすい時期。
- 大掃除・園芸の前に「5分準備運動+道具の見直し+休憩リズム」で予防。
- 痛みや引っかかりが強い時は無理をせず、早めに専門家へ相談を。







